空き家問題どうする

Newsレビュー
12 /25 2016
 少子高齢化が進行し、それに伴った多くの問題が表面化してきており、その一つとして「空き家」の問題がある。
「家」というものは人が生を受け、活動する為の拠点となり、また雨風をしのぎ外敵から身を守り集団を成すために不可欠なものだ。そして人の生活や人生において、さらには国の成立ちにも大きな影響を及ぼすものだから、根本的な問題と共にこの問題を考え対処しなければならないと思う。
2014年7月総務省『平成25年住宅・土地統計調査』によれば2013年10月1日現在、日本の空き家数は820万戸、空き家率は13.5%と過去最高を記録したとある。その後、この現状が続けば2033年には総住宅数が7,100万戸になりその30.2%の約2,150万戸が空き家になると野村総合研究所が調査結果を発表した。

空き家

 住む人もなく放置されている空き家は過疎化が進んでいる地方におけるゴーストタウンを想像させるかもしれないが、しかし現実にはそれだけでなく人口が集中している都市部においても空き家の増加は深刻な問題となっているのが現状だ。
割合は都道府県で山梨県、四国4県などが上位にあり大都市圏は低く東京都が低いのは予想通りだとしても、絶対数では都市部が多く1位大阪府(21万戸)、2位東京都(15万戸)となっている。

 総務省は空き家を「売却用住宅」、「賃貸用住宅」、「二次的住宅(別荘等)」、「その他の住宅」の4種類に分類しており、中でも問題なのは空き家になったにもかかわらず貸すわけでもなく売るわけでもなくそのまま放置される「その他の住宅」であり、その数は318万戸に達し全体の空き家に対する割合は2008年の35%から2013年には39%に高まっているとしている。
そして都市部郊外の既成市街地においても複雑な権利関係や相続問題の不調などが原因で放置されるケース等もありより増加しているのだ。
 「売却用住宅」と「賃貸用住宅」は合わせると空き家の59%を占めており都心部においては特に増加を続け大家を悩ませ、さらには所有者の高齢化と住宅の老朽化に伴い募集もあきらめ管理不全に陥り「その他の住宅」になってしまったものや、あるいは将来的にそうなる可能性を潜在的に備えた住宅が増え続けているわけだ。

 空き家が管理不全になった場合、その敷地内での雑草繁茂、樹木の越境、事件発生を懸念する近隣からのクレームが起き、その対処に膨大なエネルギーを費やすことになり、地域活性化への障害そして景観阻害、強風による飛散事故、倒壊事故、不審者の侵入や不審火、不法投棄等、環境が悪化し居住環境が著しく低下し、犯罪の温床となり更には地域全体の資産価値の低下を招くことになる。そして、その対策に住民の血税が投入され、それは自治体の財政をも圧迫しサービスを低下させ対応をより滞らせる負のスパイラル現象を巻き起こさせることになる。

経済波及効果の高い新築住宅建設

 空き家が増えているということは今現在、人口が減少傾向にあり住む人が少なくなっていることだけを意味するわけではない。以前からわかりきっている人口動態を無視し目先の経済浮揚だけにとらわれ無秩序に住宅建設を推し進める、その場凌ぎの先送り政策のなせる業だ。またそれに乗らされ勢いに任せて高額の住宅ローンを組み、ささやかな夢の実現を果たしたつもりになっている世代が残す負の遺産なのだ。
住宅が一つ売れる事は材料、資材、設備から人件費、更に入居後にも伴う耐久消費財の支出と社会全体に金が回り、住宅建設がもたらす経済波及効果は2.11倍あるとされ、要するに一軒、3,000万の投資で6,330万のリターンをもたらす打出の小槌みたいなもんだ。これは輸出の2.22倍に次ぐ波及効果の大きさらしい。
ということで手っ取り早く経済を刺激しようと思えば政策金利の引下げから住宅ローン減税、住宅取得資金贈与の特例、フラット35の100%融資、不動産取得税の特例やら固定資産税の軽減措置など様々な形で住宅購入を促進する対応がとられ、それに乗せられた結果が引き起こしている現象なわけだ。消費税増税前2013年の新築住宅着工戸数は約99万戸、その後反動があったものの昨年は92万1千戸と毎年90万戸以上の新築住宅が供給されていることをどう思うか。

人口減少にあっても少数人数世帯の増加に助けられていた世帯数もいよいよ平成27年からマイナスに転じたぞ。勿論ある程度のストックは必要であり建て替えられる住宅もあるだろう。しかし今後も毎年90万戸前後の住宅が必要だと誰が考えるだろうか。
税務上、住宅の耐用年数は木造22年、鉄筋コンクリート47年となっているが現実には耐用年数経過後も取り壊されずに残っている住宅は当たり前に存在する。RC造のマンションに関していえば解体には多大な費用が掛かるばかりではなく特に分譲の場合、建て替えの協議をまとめるのも困難な為、平成26年4月現在に措いて全国で260棟の建て替えが実現しただけだ。
また分譲用のマンションではないとしてもRC造の建物の一例として、今は原宿、青山の名所“表参道ヒルズ”として生まれ変わっている、かっての“同潤会青山アパート”は大正の後期に建築されたものが解体されるまで77年の時を経ている。大正時代の建物が70年以上もつのなら現在の最先端技術と厳しい基準を満たした建物は何年もつのかある程度想像がつく。
大金をはたいて作ったものをむやみに消失させることをしてしまっては元も子もないが、しかしただ放置しておくわけにも行くまい。じゃあ何故、空き家が放置されてしまうかだ。

放置される空き家

 住宅建設を促進させるための仕組みとして更地に建物を建設した場合、その土地の200㎡迄は課税標準額を登録価値の6分の1とする軽減措置が取られている。従って老朽化したのでと放置していた空き家をもし解体したとしたら、例えば今まで毎年10万円納めていた土地の固定資産税は一気に60万円となりはせんが、小規模住宅用地の軽減の適用は受けられないので3、4倍には膨らむことになる。わざわざ解体費用を掛けて建物を壊してまでして毎年、高い税負担を選択する人が少ないであろうことは容易に想像出来る。
価値総合研究所がスクリーニング調査をおこない、空き家の所有者を抽出しアンケートを取った結果を2015年に発表した。それによれば空き家の内訳は約74%が戸建住宅であり空き家となっている理由の44%が「相続をしてそのまま」、24%は同居、施設への移転等「住替え等をしてそのまま」のケースで、両者が3分の2以上を占めているのだ。
そして管理不全になる理由としては「遠方居住等により管理できない」、「相続人不在」、「経済的理由」、「住替え、子供宅や高齢者施設等への転居」、「適正管理意識や近隣への迷惑意識がない」等ある程度想像の付くものである。まだ何かに使い道があるかもしれないと先送りしてしまうのが人情で積極的になれと言うのにも無理があるだろう。
このように建物はなかなか簡単には壊されない。なのに次から次と新しい建物が造られているのだ。

行政の対応 

都市においては住宅が密集していることもあり管理不全の空き家の存在は治安の悪化や建物倒壊等の危険性を顕在化させやすい。なので多くの自治体が新たに空き家条例を制定して対策に乗り出している。
いよいよ2015年に「空き家対策特別措置法」が施行された。これにより自治体は空き家の持ち主を特定する為の情報開示や空き家への立ち入り調査、究極は持ち主に代わって処分することも出来るようになったわけだ。
いくら言っても聞かない、そしてもうどうしようもないところまでくれば行政が大鉈を振るって解体、排除等をおこない掛かった費用を本来の義務者に請求すると言うことになっている。であるが実際に費用を徴収できることは少ないようで逆に訴訟に持ち込まれ費用が嵩むこともあるようである。
しかし、来るところまで来てしまった状況は各所にあるようで最近、行政代執行のなされた事例が話題になったりしている。一方、自治体によっては解体に助成金を出だすなど施策を凝らしているところも出てきているようだ。とは言ってもこれらはすべて税金で賄われている事を忘れてはならない。であるにも拘わらず助成金が出るのであればと逆のインセンティブが働き、じゃあそれまで放って置くと言う本末転倒な風潮を生み出すなど成果は思わしくないようだ。
ならば空き家にはより多く課税する等の声が上がっているが、線引きする基準が確かでない等まだまだ議論の余地がある。 

結論

 以上のように問題は既に健在化しており明確だ。人口が増えて家が減れば解消する問題でありながら、まるで解決の糸口が見えないかのように状況はより深刻な事態へと進行している。しかも加速度的に・・・。

いろいろ言うことは出来る。「出生率を上げて・・」、「住宅建設を抑制し・・」、「空き家には課税して・・」、「新築住宅購入時の優遇措置をなくし・・」、「中古住宅流通市場を活性化・・」、「解体費用を助成・・」、「建築時に資産除去債務を課せば・・」、「空き家を活用しよう・・」などなど。
今、経済が活性化するなら先のことはしょうがない、先の人が考えてくれればいいと言う人はいないだろう。しかし一部の人が奮闘して解決する問題の様には思えない。
 最後に、全ては自己責任として私たち一人一人が直面することになる問題だろうと思う。自身が住宅を購入するかしれない。あるいは親の家を相続することになるかもしれない。またお隣さんが空き家になるかもしれないのだ。
固定金利だとして30年、毎月十三万円のローンで住宅を購入したとして総額4,680万円払うことになるが、その後に残るものが何なのかをシッカリ見通しておくべきだ。もし賃貸だとしたら相続でもしない限り家は残らないとしてもなにか別なものが残るかもしない。 

様々なシチュエーションがあるだろうがよく考えてほしい。いつでも相談には応じることが出来る。



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Marcle Seagull

I'm Marcle. I challenge various things without a break. These are reports of the daily life including study, business and hobby.
In April, 2016. Entering a university I'm a sophomore now.

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